こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。

「慶應SFC」と検索すると、予測変換に「後悔」という少しドキッとする言葉が現れることがあります。最先端の学び、自由な校風、輝かしい実績を持つ学生たち——。そんな華やかなイメージの裏で、なぜ「後悔」という声が生まれるのでしょうか?

SFCは、間違いなく日本で最もユニークで刺激的な教育環境の一つです。しかし、その特殊性こそが「諸刃の剣」となり、ある人にとっては最高の楽園に、またある人にとっては目的を見失う荒野になり得ます。

この記事では、「SFCで後悔した」という声が生まれる本質的な理由を3つの“罠”として解き明かし、それらを乗り越え、SFCでの4年間を最高に価値あるものにするための「心のOS」について、正直に、そして徹底的に解説します。


SFCでの後悔は、大学が「悪い」から生まれるのではありません。それは多くの場合、学生が大学に抱く期待と、SFCという場の特性との「ミスマッチ」から生じます。

罠1:「自由」という名の“放置” — 指示待ち人間には厳しい環境

SFCの最大の魅力は「自由」です。決まった学部・学科の専門分野はなく、必修科目もごくわずか。学生は、広大な知のビュッフェの中から、自分の興味に応じて好きなメニューを好きなだけ選ぶことができます。

しかし、この自由は、強烈な自己管理能力と主体性を要求します。明確な目的意識がないまま入学すると、「何をすればいいか分からない」状態に陥りがちです。「誰かが面白い授業を教えてくれる」「進むべき道を提示してくれる」といった受け身の姿勢(指示待ち)では、ただ楽な授業だけを取ってしまい、気づけば4年間で何も専門性が身につかなかった、ということになりかねません。これが、最も多くの「後悔」を生む最大の要因です。

罠2:想像以上に“郊外”な立地と独特なコミュニティ

SFCは、神奈川県藤沢市の緑豊かな丘陵に位置します。最寄りの湘南台駅からはバスで約15分。多くの人がイメージする「キラキラした都会のキャンパスライフ」とは少し異なります。

この物理的な距離感は、「SFC村」と呼ばれる独特で濃密なコミュニティを形成します。同じ志を持つ仲間と24時間議論し、プロジェクトに没頭できる最高の環境である一方、そのカルチャーに馴染めなかった場合、コミュニティからの疎外感や孤独を感じやすくなる側面もあります。「東京で遊びたい」「他大学の友人と交流したい」という気持ちが強い人ほど、この立地と独特な村社会にギャップを感じ、「後悔」に繋がることがあります。

罠3:「何でもできる」と「何も専門がない」の表裏一体

「SFCでは、文理の枠を超えて何でも学べる」——。これは事実です。しかし、その裏返しは「自分で意識して深めなければ、何も専門性が身につかない」ということです。

伝統的な学部のように、「経済学」「法学」といった体系化された学問を、基礎から応用まで順序立てて深く学びたい、という期待を持って入学すると、そのスタイルの違いに戸惑うでしょう。様々な分野を広く浅くつまみ食いした結果、「自分は何者なのだろう?」というアイデンティティの不安に苛まれる。これも「後悔」の一つのパターンです。


では、これらの“罠”を避け、SFCの自由を最大限に活かすためには、どのような心構えが必要なのでしょうか。それは、入学前にインストールしておくべき、4つの「心のOS」です。

1. 「学ぶ消費者」から「創る生産者」へ意識を変える

SFCは、知識を消費する場所ではなく、自ら問いを立て、新たな価値を生産する場所です。「何か面白いことはないかな」と待つのではなく、「自分はSFCのリソースを使って何を創り出せるだろうか」と考える。この「生産者マインド」こそが、SFCを楽しむための最も重要なOSです。

2. 「問い」を羅針盤にする — とにかく“ハマれる”何かを見つける

SFCの自由という大海原で遭難しないための唯一の羅針盤は、あなた自身の「問い」です。「なぜ、この社会問題は解決されないのか?」「どうすれば、この技術はもっと面白くなるのか?」——どんなに小さくても、拙くても構いません。自分が心の底から“ハマれる”テーマや問いを見つけること。それが見つかれば、履修すべき授業も、入るべき研究会も、自ずと見えてきます。

3. 完璧じゃなくていい、「とりあえずやってみる」精神を持つ

SFCには「とりあえずやってみる(Tottoriaezu Yattemiru)」、略して「TY」という文化が根付いています。完璧な計画を立ててから動くのではなく、まず行動してみる。失敗を恐れず、興味を持ったプロジェクトやサークルに顔を出してみる。その試行錯誤のプロセスの中から、本当にやりたいことが見つかるのです。

4. “村”の外にも目を向ける勇気を持つ

SFCのコミュニティは魅力的ですが、そこに閉じこもる必要はありません。湘南台駅から電車に乗れば、横浜も都心もすぐそこです。他キャンパスの授業を受けたり、全塾サークルに参加したり、都心でインターンをしたりと、意識的に「村」の外の世界と繋がることで、あなたの視野はさらに広がり、SFCでの学びもより豊かなものになります。

「慶應SFCで後悔した」という言葉は、SFCが「悪い大学」であることを意味しません。それは、「SFCが、万人向けの大学ではない」という事実を示しているだけです。

SFCは、あなたに無限の自由を与えますが、その対価として、あなたに無限の主体性を要求します。決められたレールの上を安心して走りたい人にとっては、居心地の悪い場所かもしれません。しかし、自らの手で道なき道にレールを敷き、未来へと突き進みたいと願う冒険者にとっては、これほど刺激的で恵まれた環境は、世界のどこにもないでしょう。

問われているのは、大学の評価ではありません。あなたが、その自由という名の試練に、挑戦する覚悟があるかどうかです。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。