こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。

「総合型選抜/AO入試」「文理融合」「問題発見・解決」。 今でこそ多くの大学が掲げるこれらのキーワード。しかし、その先駆けとして、日本の大学教育に巨大な一石を投じたキャンパスがあります。それが、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)です。

設立から時間が経ち、SFCは「自由で面白い大学」として確固たる地位を築きました。しかし、その「自由」や「面白さ」が、どのような理念に基づいて設計されたのか、あなたは知っていますか?

今回ご紹介する『慶應義塾大学SFCの挑戦』は、設立から10年という節目に、SFCが何を目指し、何を実践してきたのかを克明に記録した一冊。SFCの「今」を理解するためにこそ読むべき、その「原点」と「設計図」がここにあります。

本書は、SFCという壮大な「実験」が、どのような思想のもとに行われたかを多角的に解き明かしていきます。

目次を追うだけでも、その網羅性の高さがわかります。

本書は単なる大学案内ではありません。SFCという一つの「作品」を、思想、制度、実践という観点から丁寧に分解して見せる、「解体新書」のような一冊なのです。

この本を今読む価値は、SFCの歴史を知ることだけにとどまりません。本書を読むと、現代の日本の高等教育が抱える課題に対し、SFCが設立当初からいかに先進的な答えを提示していたかに驚かされます。

分野横断型の学び、学生主体の研究、ITインフラの全面的な導入、そして何より「社会の問題を解決する」という明確なミッション。

これらはすべて、SFCが誕生したときに埋め込まれていた「DNA」です。著者の田中章義氏は、SFCの卒業生でありながら、歌人、国連親善大使という異色の経歴を持つ人物。そのユニークな視点から描かれるSFCの姿は、単なる客観的なレポートではなく、当事者としての熱量と愛情に満ちています。

設立から10年という時点で書かれた本書は、理想と現実の狭間でSFCがどのように奮闘してきたかの記録でもあります。だからこそ、その記述にはリアリティがあり、教育の現場が持つ熱気が伝わってくるのです。

もしあなたがSFCへの進学を真剣に考えているなら、この本はあなたのSFCに対する「解像度」を劇的に引き上げてくれるはずです。

1. 志望理由書の「なぜSFCか?」に、哲学で答えられる 「自由な校風だから」だけでは、SFCの教員には響きません。本書を読めば、SFCが目指した「問題解決型人材の育成」という明確な目標を理解できます。その上で、「自分のやりたいことは、SFCが目指すこの理念と合致している」と語れれば、あなたの言葉の説得力は格段に増すでしょう。

2. カリキュラムの意図を理解し、入学後の学びをデザインできる SFCの自由さは、裏を返せば「自分で学びを設計しなければならない」ということです。本書は、クラスター制度や研究会といったSFC独特の仕組みが、どういう意図でデザインされているのかを教えてくれます。入学前にこれを理解しておけば、4年間の学びをより主体的かつ戦略的に計画できるはずです。

3. SFCの「変わらない軸」と「変わり続ける姿」を理解できる この本は10年目の記録ですが、SFCの根幹にある理念は今も変わっていません。この「変わらない軸」を知ることで、SFCがなぜ今もなお新しい挑戦を続けるのか、その文脈を理解できます。SFCの過去を知ることは、未来のSFCであなたが何をすべきかを考えるための、最高の道しるべとなります。

『慶應義塾大学SFCの挑戦』は、SFCという大学の表面的なイメージの奥にある、熱い理念と緻密な設計を明らかにしてくれる貴重な一冊です。

SFCがなぜ生まれ、何を成し遂げようとしているのか。その「魂」に触れることで、あなたがSFCで学びたい理由も、より明確になるはずです。未来のSFC生にとって、必読の書と言えるでしょう。


KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。

※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。