
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
大学とは、壁に閉ざされた「象牙の塔」なのだろうか? 社会の喧騒から離れ、学問の探求にのみ没頭する場所。そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、設立当初からその真逆を体現し、社会の課題解決というミッションを掲げてきたのが、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)です。
では、SFCは具体的にどのように社会と向き合ってきたのか。その最も鮮烈な記録の一つが、今回ご紹介する『未来への貢献―慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス 産学の対話2004』です。
これは、SFCの研究者たちと、NTTデータ、三菱地所、ベネッセといった日本を代表する企業のリーダーたちが、たった一つのテーマ――「この国のかたち」――について真剣に対話した記録です。SFCの学びが、いかに社会のリアルと繋がっているかを知るための、またとない一冊と言えるでしょう。
この本は何を教えてくれるのか? - 教室の外で行われた「未来の会議」
本書は「SFCフォーラム2003」というイベントの全記録です。しかし、これは単なる講演会録ではありません。日本の未来を左右する重要課題について、SFCの知性と産業界の知性が火花を散らした、「未来を創るための会議」の議事録なのです。
そのテーマは、驚くほど多岐にわたります。
- 未来先導への挑戦: ITとバイオの融合、次世代のコミュニケーションは国をどう変えるか?
- “民”による戦略の構図: 成熟した市民意識は政治をどう動かすか?ネットワークは「下からの自治」をどう実現するか?
- 再編される世界: 北朝鮮問題や反グローバリズムといった国際情勢に、日本はどう向き合うべきか?
これらはすべて、SFCという場で、日本を動かすビジネスリーダーたちを相手に議論されたテーマです。本書を読むことは、SFCが単なる教育機関ではなく、社会の課題解決に向けた「実践の場」であることを理解する、何よりの近道となります。
書評:これはSFCが社会と交わした「未来への約束」である
本書が刊行されたのは2004年。しかし、そこで議論されている内容は、20年以上経った今もなお、日本の中心的な課題であり続けています。この事実は、SFCが持つ驚くべき「先見性」を証明しています。
この本の真価は、SFCの掲げる「問題発見・解決」という理念が、机上の空論ではないことを力強く示している点にあります。
SFCの研究者たちは、自らの研究成果を社会にどう実装できるかを問い、産業界のリーダーたちは、現場の課題をアカデミアの知恵でどう解決できるかを問う。この真剣な「対話」の積み重ねこそが、SFCの強さの源泉なのです。
本書は、SFCが社会に対して「私たちはこれらの課題から逃げずに、未来への貢献を成し遂げます」と宣言した、いわば「未来への約束」の証書です。その熱量と志の高さは、時代を超えて読む者の胸を打ちます。
SFC志望者へ。この本が君の「視座」を高くする3つの理由
SFCのAO入試に挑むあなたにとって、この本は他の誰にも真似できない、独自の視点を与えてくれるはずです。
1. SFCの「社会における役割」を理解できる 「SFCで学びたい」という想いの先に、「SFCというプラットフォームを使って、社会にどう貢献したいか」を語れますか? 本書は、SFCが社会から何を期待され、どう応えようとしてきたかを示してくれます。この視点を持つことで、あなたの志望理由は、個人的な興味のレベルから、社会的なミッションのレベルへと引き上げられます。
2. 自分の「問題意識」を社会の文脈に位置づけられる あなたが解決したい「問題」は何ですか? それは、本書で議論されているような、政治、経済、医療、教育といった大きなテーマとどう繋がっていますか? この本は、あなたの個人的な問題意識を、より大きな社会の文脈の中に位置づけ、その重要性を説得力をもって語るための最高の羅針盤となります。
3. 「対話」の重要性をアピールできる SFCは多様な人々が対話し、協力する場です。本書は、その最たる例が「産学の対話」であることを教えてくれます。「私は、SFCで専門性を磨くと同時に、産業界や行政など、異なる分野のプロフェッショナルと積極的に対話し、自分の研究を社会実装できる人材になりたい」――そんな力強いビジョンを語るための、具体的な裏付けがここにあります。
最後に
『未来への貢献』は、SFCがただ新しいだけの大学ではなく、社会に対する強い責任感と貢献意欲を持った「実践の場」であることを、何よりも雄弁に物語る一冊です。
教室の中だけで完結しない、社会のリアルな課題に挑むSFCの姿。その熱い息吹を感じたいなら、ぜひこの「未来の会議」の議事録を紐解いてみてください。あなたの目に映るSFCの姿が、きっと変わるはずです。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。