こんにちは！KOSSUN教育ラボ教務担当です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス（SFC）。その名は「自由」「革新」「問題解決」といった言葉と共に語られます。しかし、その革新的なキャンパスが、いかにして生まれ、どのような人々によって支えられ、そしてどこへ向かおうとしているのか、その「舞台裏」を深く知る人は少ないかもしれません。
今回ご紹介する『未来を創る大学』は、まさにその舞台裏を、キャンパスを創り上げた当事者たちが自ら語る、決定版ともいえる一冊です。
SFCの卒業生が語る「物語」や、その理念を解説した本は他にもあります。しかしこの本は、SFCという壮大なプロジェクトの「公式記録」であり、その設計思想から運営の細部に至るまでを解き明かしています。SFCの表面的なイメージだけでなく、その魂と骨格を理解したい全ての人、特にSFCを志す受験生にとって必読の書です。
この本は何を教えてくれるのか？ - SFCの「公式ドキュメント」
本書は、SFCの理念だけでなく、その理念をいかにして「現実」にしたかというプロセスに深く踏み込んでいます。これは単なる大学史ではありません。未来の教育を創造するための、緻密な戦略と実践の記録です。
- 第１部 SFCの沿革とキャンパスデザイン 大学改革はどのように進められたのか。それを支える事務組織はどう作られたのか。果てはキャンパス周辺の開発に至るまで、SFCという「場」が物理的・制度的にどうデザインされたかが語られます。美しい理念を形にするための、地道で壮大なプロセスがここにあります。
- 第２部 SFCの挑戦者たち 制度や建物だけでは大学は成り立ちません。この部では、SFCという場で躍動する学生や卒業生、そしてそれを支える情報インフラや研究活動に焦点が当てられます。SFCというシステムが、どのような「挑戦者」を生み出し、社会に送り出しているかの実例が示されています。
本書の特筆すべき点は、「SFC Version 2.0」や地域社会と連携した「SFCコミュニティ」といった、次なる10年を見据えた構想にまで言及していることです。SFCが過去の成功に安住せず、常に未来を見据えて自己変革を続ける組織であることが、力強く示されています。
書評：これは「大学改革」という名の壮大なプロジェクトの記録
この本の最大の価値は、SFCの設立と運営に深く関わった事務長や学部長といった「中の人」が、自らの言葉でその軌跡を語っている点にあります。その筆致からは、理想を現実に変えるための情熱と、数々の困難を乗り越えてきた自負が伝わってきます。
他の本がSFCの「思想」や「成果」に焦点を当てるとすれば、この本は「戦略」と「実行」に光を当てています。
「知の再編」や「問題の発見・解決」という理念は、どのようにして具体的なカリキュラムや研究会、さらには事務組織のあり方にまで落とし込まれたのか。本書を読むことで、SFCが一貫した設計思想に基づいて創られた、壮大な「プロジェクト」であったことが理解できます。
これは、単にSFCを知るためだけでなく、教育改革や組織論に興味を持つ人にとっても、非常に示唆に富んだケーススタディと言えるでしょう。
SFC志望者へ。この本が君を「当事者」にする3つの理由
SFCのAO入試や面接で、他の受験生と一歩も二歩も差をつけたいなら、この本は強力な武器になります。
1. SFCの「なぜ？」に答えられるようになる 「なぜSFCは他の大学と違うのか？」この問いに、あなたは「舞台裏」の視点から答えられるようになります。「問題解決という理念を支えるために、事務組織はこのようにデザインされ、キャンパスの物理的な配置にも意図がある」といったレベルで語れれば、あなたのSFCへの理解度の深さは際立つはずです。
2. SFCの「未来」を語れるようになる 志望理由書で語るべきは、あなたの過去と現在だけではありません。SFCの未来にどう貢献したいかです。本書が提示する「SFC Version 2.0」や「SFCコミュニティ」という概念は、そのための絶好の材料です。「私は、このSFCの未来構想の中で、〇〇という形で貢献したい」と具体的に提案できれば、あなたは単なる「志望者」から、SFCの未来を共に創る「当事者」へと変わります。
3. 自分を「挑戦者」として位置づけられる 本書は学生や卒業生を「挑戦者」と呼んでいます。SFCが求めているのは、用意された環境を享受するだけの学生ではなく、SFCというプラットフォームを最大限に活用し、新たな価値を創造する「挑戦者」です。この本を読むことで、自分がSFCにとってどのような「挑戦者」になりうるのかを考え、アピールするための視点を得ることができます。
最後に
『未来を創る大学』は、SFCという教育の実験が、いかに緻密な戦略と熱い情熱によって支えられてきたかを明らかにする、第一級の資料です。
SFCの理念に共感するだけでなく、その理念を現実にするための「仕組み」や「戦略」にまで思いを馳せたい。そんな探究心あふれるあなたにこそ、読んでほしい一冊です。この本を読了した時、あなたのSFCを見る目は、より深く、より熱いものになっているでしょう。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC（湘南藤沢キャンパス）の総合型選抜（AO入試）に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
西村 成道（にしむら・なるみち）
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜（AO入試）のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.４%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。
