
- 1. 未来からの留学生を育む「総合政策学部」
- 1.1.1. 初代学部長:加藤 寛 (かとう ひろし)
- 1.1.2. 第2代学部長:井関 利明 (いぜき としあき)
- 1.1.3. 第3代学部長:鵜野 公郎 (うの きみお)
- 1.1.4. 第4代学部長:小島 朋之 (こじま ともゆき)
- 1.1.5. 第5代学部長:阿川 尚之 (あがわ なおゆき)
- 1.1.6. 第6代学部長:國領 二郎 (こくりょう じろう)
- 1.1.7. 第7代学部長:河添 健 (かわぞえ たけし)
- 1.1.8. 第8代学部長:土屋 大洋 (つちや もとひろ)
- 1.1.9. 現学部長:加茂 具樹 (かも ともき)
- 2. サイエンスとデザインで未来を創造する「環境情報学部」
- 2.1.1. 初代学部長:相磯 秀夫 (あいそ ひでお)
- 2.1.2. 現学部長:一ノ瀬 友博 (いちのせ ともひろ)
- 3. 最後に
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
1990年、従来の学問領域の壁を打ち破り、「問題発見・解決」を理念に掲げて神奈川県藤沢市に開設された慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)。その中核をなす総合政策学部と環境情報学部は、常に時代の最先端を走り続けてきました。その革新的な教育と研究の舵取りを担ってきたのが、歴代の学部長たちです。
本記事では、SFCの創設期から現在に至るまで、両学部を率いてきた歴代学部長を一人ひとり、その功績や思想、SFCに与えた影響とともに、徹底的に紹介します。彼らのビジョンやリーダーシップが、いかにしてSFCのユニークな文化を築き上げ、未来を担う数多の才能を輩出してきたのか、その軌跡を辿ります。
未来からの留学生を育む「総合政策学部」
総合政策学部は、「政策」を軸に、政治、経済、社会、経営、国際戦略、地域戦略、技術革新、環境といった幅広い分野を横断的に学び、複雑な社会問題の解決に挑む人材の育成を目指しています。
初代学部長:加藤 寛 (かとう ひろし)
在任期間: 1990年 - 1994年
SFCの設立に中心的な役割を果たした初代学部長。経済学者として、日本の経済政策のブレーンとしても活躍しました。「未来を切り拓くための政策を考える学部」という理念を掲げ、既存の学問の枠に囚われない「総合政策学」を提唱。その思想は、学生を「未来からの留学生」と呼び、未来社会を創造する主体として育てるというSFCの根幹をなす教育哲学として、今なお受け継がれています。「大学の理念を変え、制度を改革し、人を育てる」という強い意志でSFCの基礎を築き上げました。
第2代学部長:井関 利明 (いぜき としあき)
在任期間: 1994年 - 1996年
社会学者として、日本のマーケティング研究の第一人者。SFC創設にも深く関わり、「ライフスタイル」や「一人十色」といった新しい概念を提唱し、多様化する社会のあり方を鋭く洞察しました。学部長として、SFCが標榜する学際的なアプローチをさらに推進。学生が自らの問題意識に基づき、主体的に学びをデザインしていくSFCの教育スタイルを定着させました。
第3代学部長:鵜野 公郎 (うの きみお)
在任期間: 1996年 - 2001年
経済学者として、環境経済学や計量経済分析を専門としました。情報化社会の進展を見据え、政策決定におけるデータ分析の重要性を強調。データベースやシミュレーションといった情報技術を政策研究に活用する「政策情報基盤」の概念を提唱し、SFCにおける文理融合教育の深化に貢献しました。
第4代学部長:小島 朋之 (こじま ともゆき)
在任期間: 2001年 - 2007年
現代中国、東アジアの政治を専門とする政治学者。日中歴史共同研究の委員を務めるなど、実践的な国際関係論を展開しました。学部長在任中には、SFCが一体となって研究・教育に取り組む姿勢を強調し、学部・大学院の連携を強化。SFCを「21世紀世界を先導する人材」を育成する場として、そのグローバルなプレゼンスを高めることに尽力しました。
第5代学部長:阿川 尚之 (あがわ なおゆき)
在任期間: 2007年 - 2009年
米国法、日米関係論を専門とする法学者。弁護士、外交官としての実務経験も持ち、理論と実践を架橋するSFCの理念を体現しました。「現実的であると同時に理想主義者でありたい」という信条のもと、学生に現実社会の複雑さを直視しつつ、高い理想を掲げて問題解決に挑む姿勢を求めました。
第6代学部長:國領 二郎 (こくりょう じろう)
在任期間: 2009年 - 2013年
経営情報システムを専門とし、「オープン・アーキテクチャ戦略」などの経営理論で知られます。SFC研究所長も歴任し、産学連携や社会実装を重視。ヒューマンセキュリティ研究などを通じて、SFCが社会の課題解決に直接的に貢献する「実践知の学問」の拠点となることを目指しました。
第7代学部長:河添 健 (かわぞえ たけし)
在任期間: 2013年 - 2019年
数学者でありながら、総合政策学部長を務めた異色の経歴の持ち主。専門分野の壁を越えるSFCの精神を象徴する存在と言えます。在任中は、SFCの先端生命科学研究と社会科学の融合などを推進し、複雑な社会問題に対して、より多角的で深いアプローチで挑むことの重要性を説きました。
第8代学部長:土屋 大洋 (つちや もとひろ)
在任期間: 2019年 - 2021年
国際政治学、サイバーセキュリティを専門とし、情報社会における新たなガバナンスのあり方を探求しています。学部長として、急速に変化するデジタル社会に対応しうる政策立案能力の育成を重視。学生がグローバルな視点と情報リテラシーを兼ね備えたリーダーとなることを期待しました。
現学部長:加茂 具樹 (かも ともき)
在任期間: 2021年 - 現在
現代中国政治、東アジア国際関係を専門としています。学部長として、SFC創設以来の「問題発見・解決」の理念を再確認しつつ、現代社会の複雑な課題に対応するために、学問領域を横断する学びの重要性を強調。「自ら実践し、日本、そして世界を変えていく意気込みを持つ学生の育成」を目標に掲げ、SFCの教育をリードしています。
サイエンスとデザインで未来を創造する「環境情報学部」
環境情報学部は、情報科学、生命科学、環境科学、デザインなどを融合させ、科学技術とデザインの力で創造的な問題解決を目指す、SFCのもう一つの柱です。
初代学部長:相磯 秀夫 (あいそ ひでお)
在任期間: 1990年 -1994年
日本のコンピュータ開発のパイオニアの一人。SFC設立に参画し、初代環境情報学部長に就任しました。「問題発見・解決型教育」を掲げ、情報科学を基盤としながらも、それに留まらない学際的な研究教育の礎を築きました。日本の計算機産業の育成にも大きく貢献し、その功績は国内外で高く評価されています。
現学部長:一ノ瀬 友博 (いちのせ ともひろ)
在任期間: 2021年 - 現在
景観生態学、都市環境学を専門とし、SFCのキャンパス自体も研究フィールドとして活用しています。近年のSFCキャンパスの「自然共生サイト」認定にも尽力しました。不確実性の高い時代において、環境の変化に柔軟に適応し、「未来を創造する先導者」を生み出すことを目指し、ネイチャーポジティブな社会の実現に向けた教育・研究を推進しています。
最後に
SFCの学部長たちは、それぞれが専門分野の第一人者でありながら、創設者・加藤寛氏が掲げた「問題発見・解決」という理念を共通の基盤として、その時代に即した形でSFCの教育と研究を発展させてきました。
初代学部長たちの築いた革新的な土壌の上で、後任の学部長たちは、グローバル化、情報化、そしてサステナビリティといった新たな時代の要請に応え、SFCを常にアップデートし続けています。彼らのリーダーシップの下、SFCはこれからも、予測不可能な未来を自らの手で切り拓く「知の冒険者」たちを輩出し続けることでしょう。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。