
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)への扉は、一つではありません。SFCは、未来を創造する多様な才能を発掘するため、大きく分けて二つの異なるアプローチの入学試験を用意しています。
一つは、あなたのこれまでの活動や探究心、そして未来への情熱を問う「総合型選抜(AO入試)」。 もう一つは、SFC独自の学力試験で、思考力と知の体力を問う「一般選抜」。
この二つの入試は、単に選考方法が違うだけではありません。SFCが学生に求める能力の、異なる側面を評価するために設計されています。「自分はどちらの入試に向いているのだろう?」と悩む受験生のために、この記事では、SFCの二つの入試制度の全体像、それぞれの特徴、そしてどんな人が各選考に向いているのかを、最新情報に基づいて徹底的に解説します。
2つの入試制度:その理念と募集人数の比率
まず理解すべきは、SFCがなぜ2種類もの門戸を設けているのか、その背景です。
総合型選抜(AO入試) | 一般選抜 | |
評価の主眼 | これまでの活動実績、問題意識、将来性、SFCとのマッチング | 高度な学力、論理的思考力、独創的な発想力 |
求める人物像 | 自らの手で問題を発見し、行動を起こしてきた「実践者」 | 高い知的好奇心と知の体力を持ち、未知の問題を解き明かせる「探究者」 |
募集人員(※) | 各学部 150名 | 各学部 225名 |
入学者比率 | 約40% | 約60% |
(※) 2025年度の募集要項に基づく。総合政策学部・環境情報学部の数値。
最も注目すべきは、入学者の約4割が総合型選抜(AO入試)で選ばれているという事実です。これは、SFCがペーパーテストのスコアだけでは測れない「個性」や「実績」を、学力と等しく、あるいはそれ以上に重視していることの力強い証明です。
【総合型選抜(AO入試)】あなたの「これまで」と「これから」を問う総力戦
総合型選抜(AO入試)は、学力試験を一切課しません。評価の対象となるのは、あなたの「半生」そのものです。
選考プロセス
- 一次選考(書類審査): 志望理由書や活動報告、任意提出資料など、膨大な書類を通して、あなたが「何に問題意識を持ち、どう探求し、どんな実績を上げてきたか」、そして「SFCで何を成し遂げたいか」をプレゼンテーションします。
- 二次選考(面接): 書類審査を通過すると、SFCの教員との30分程度の面接が行われます。提出書類の内容を深掘りされ、思考の柔軟性や対話力、そしてSFCへの熱意が問われます。
どんな人に向いているか?
- 特定の分野に、寝食を忘れるほど没頭した経験がある人: プログラミング、地域活動、国際ボランティア、映像制作、起業など、ジャンルは問いません。「誰にも負けない」と言えるような、探究の物語を持っている人が高く評価されます。
- 明確な問題意識と、それを解決するための行動実績がある人: 「〇〇という社会問題を解決したい」という想いだけでなく、そのために実際に調査や制作、提言などのアクションを起こしてきた実績が重要です。
- 未来への壮大なビジョンと、それを実現するための学習計画を持つ人: SFCという環境を最大限に活用し、自らを成長させ、社会に貢献するための具体的でワクワクするような未来の設計図を描ける人が求められます。
【一般選抜】思考の限界に挑む、SFC流「学力試験」
SFCの一般選抜は、そのユニークな試験形式から「知識」だけでなく「知性」そのものを問う、非常に難易度の高い試験として知られています。
試験科目と配点
SFCの一般選抜は、2科目・合計400点満点で評価されます。
- 選択科目(200点): 「外国語(英語)」「数学」「情報」の中から1科目を選択。
- 小論文(200点): 全員必須。
配点が1:1であることから、小論文が選択科目と全く同じ重みを持つことがわかります。これがSFC一般選抜の最大の特徴です。
どんな人に向いているか?
- 特定の得意科目で、圧倒的な実力を持つ人: 科目数が少ない分、一つの科目に特化した受験生が全国から集まります。「英語だけは誰にも負けない」というような、高い専門性と学力を持つ人が有利です。
- 未知の問題に対して、粘り強く思考できる人: SFCの試験問題、特に小論文は、単純な知識を問いません。膨大な資料を読み解き、そこに潜む「問題を発見」し、自分なりの「解決策を創造」する能力が問われます。過去には「複数の研究プロジェクトをどう組み合わせ、社会課題を解決するか」といった、SFCでの学びそのものをシミュレーションするような問題も出題されています。
- 知的好奇心が旺盛で、分野横断的な思考ができる人: 英語では情報科学や生命倫理、小論文では社会問題や未来予測など、文理の枠を超えたテーマが出題されます。幅広い分野への興味関心と、それらを繋げて考える力が不可欠です。
最後に
SFCへの二つの道、「総合型選抜」と「一般選抜」。どちらが優れているということではなく、あなたが持つ「輝き」を最も効果的に示せる舞台がどちらであるか、という視点で選ぶことが重要です。
- これまでの「行動」と「物語」で自分を表現したいなら、総合型選抜(AO入試)。
- 学問的な「知力」と「思考力」で真正面から挑戦したいなら、一般選抜。
最終的に、どちらの入試もSFCの理念である「問題発見・解決」を体現できる人材を求めている点では共通しています。あなたの強みは何か、そしてSFCで何を成し遂げたいのかを深く見つめ、自分に最適な挑戦の道を選んでください。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。