
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
「これまでの実務経験で直面した課題を、学問的に探求し、社会に還元したい」 「仕事を辞めずに、博士号(Ph.D.)を取得できる道はないだろうか?」
長年のキャリアを積んだ社会人だからこそ抱く、こうした切実な問題意識と学びへの意欲。その受け皿として、慶應義塾大学SFCの大学院 政策・メディア研究科には、在職しながら博士号の取得を目指す社会人のための特別な制度「後期博士課程 社会人コース」が設置されています。
この記事では、SFC大学院で学びたいと考える社会人の方へ向けて、この「社会人コース」の特色、出願までの具体的な流れ、そして準備すべきことのポイントを、公式の募集要項を基に分かりやすく解説します。
SFC大学院「社会人コース」とは?— 3つの大きな特徴
SFCの社会人コースは、単に出願時に社会人であればよい、というものではありません。実務経験を研究の力に変える、ユニークで実践的な制度です。
1. 在職しながら博士号を目指せる
最大の魅力は、現在の仕事を辞めることなく、在職したまま博士課程の研究に専念できる点です。これまでのキャリアを中断することなく、ご自身の専門性をさらに高め、博士(政策・メディア)の学位取得を目指すことが可能です。
2. 5年以上の実務経験が「研究の土台」になる
このコースの出願資格には、企業・官庁・研究教育機関等で合計5年以上の業績・経験を積んでいることが求められます。これは、単なる年数の条件ではありません。SFCでは、現場で培われた経験や、そこから生まれた具体的な問題意識こそが、価値ある研究を生み出す最も重要な「土台」だと考えています。
3. 学位取得要件の一部が免除される
多忙な社会人学生の状況を考慮し、博士学位取得の要件の一部が免除されることも大きな特徴です。具体的には、以下の3つが免除対象となります。
- 新規授業科目企画書
- 技法科目
- 教育体験 これにより、自身のコアとなる研究活動により集中できるカリキュラムとなっています。
出願までのロードマップ — 最重要ステップは「教員とのコンタクト」
SFC大学院の出願プロセスは、一般的な大学院入試とは大きく異なります。特に、指導を希望する教員との事前のコミュニケーションが極めて重要です。
Step 1【最重要】:研究指導教員を探し、内諾を得る
これが、SFC大学院社会人コース出願の最初にして最大のステップです。
出願するためには、事前に研究指導を希望する研究科委員(教員)とコンタクトを取り、研究計画について十分に討議し、指導の内諾を得ておくことが絶対条件となります。
- 教員を探す: 政策・メディア研究科に設置されている8つの「プログラム」の中から、自身の問題意識に近い分野を探し、所属する教員の専門分野や研究実績をSFCの公式サイトで徹底的にリサーチします。
- コンタクトを取る: SFCが用意している「教員コンタクトフォーム」などを利用し、具体的な研究計画を明記した上で、指導を希望する教員にアプローチします。
- オンライン面談等で討議: メールでのやり取りの後、Zoom等によるオンライン面談で研究計画を深く討議します。
- 指導の内諾を得る: 教員から指導の承諾を得られて、初めて次のステップに進むことができます。
このプロセスには時間がかかるため、募集要項を確認し、十分な余裕を持って行動を開始することが不可欠です。
Step 2:出願書類を準備する
教員の内諾を得たら、出願書類の準備に取り掛かります。特に社会人コースで重要となるのは以下の書類です。
- 研究計画書: これまでの学習テーマや実績、そして博士課程で取り組みたい研究の目的、方法、意義などを具体的に記述します。
- 業績書: これまでの在職期間中の主な業績や業務内容を具体的に記述します。5年以上の実務経験が、研究の実現可能性を裏付ける重要な資料となります。
- 在職証明書: 現在、在職中であることを証明するために提出が必要です。
Step 3:Webエントリーと書類郵送
準備した内容を基に、オンラインの「Webエントリーサイト」で必要事項を入力します。入力完了後、印刷した「入学志願票」や、大学から取得した成績証明書などの必要書類を、指定された期間内に郵送します。
Step 4:面接試験
書類審査の後、研究計画に基づいた面接試験が実施されます。指導内諾を得た教員も交え、研究を遂行する能力があるか、博士学位取得の見込みがあるかなどが総合的に判断されます。
出願資格と主な提出書類まとめ
項目 | 詳細 |
主な出願資格 | ・大学院修士課程修了者、または大学学部卒業者 ・企業、官庁、研究教育機関等での在職年数が合計5年以上であること ・現在、在職中であること ※学部卒の場合は、修士課程修了者と同等以上の学力があるかどうかの「出願資格認定」が事前に必要。 |
主要な提出物 (Web入力) | ・研究計画書: あなたの研究の設計図 ・業績書: あなたの5年以上の実務経験の証明 ・研究指導引受書: 指導教員がオンラインで作成・提出 ・評価調書: あなたを客観的に評価できる方(指導教員以外)がオンラインで作成・提出 |
主要な提出物 (郵送) | ・大学・大学院の成績証明書、卒業・修了証明書 ・在職証明書 ・入学志願票(Webエントリー後に印刷) など |
最後に
慶應SFC大学院の「社会人コース」は、これまでのキャリアで培ったあなただけの「問題意識」を、アカデミックな探求へと昇華させ、博士号という形で結実させるための、またとない機会です。
その門戸は、明確な目的と熱意を持つすべての社会人に開かれています。あなたの実務経験は、未来を切り拓くための最も価値ある研究フィールドです。SFCは、あなたの挑戦を待っています。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。