
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のAO入試において、その合否を分ける最も重要な書類、それが「志望理由書」です。正式には「志望理由・入学後の学習計画・自己アピール」という名のこの書類は、単なる作文ではありません。
SFCが求める「未来からの留学生」として、あなたがいかにユニークで、情熱的で、そして未来を切り拓く可能性に満ちているかを伝えるための、あなた自身の物語であり、壮大な企画書なのです。
しかし、その自由度の高さから、「何を書けばいいのか分からない」「どうすれば評価されるのか」と悩む受験生は後を絶ちません。
この記事では、SFCが志望理由書で本当に見たいものは何かを解き明かし、あなたの魅力を最大限に引き出すための「黄金の物語構造」と、具体的な作成ステップを徹底的に解説します。
SFCが志望理由書で「本当に」見たいものとは?
SFCは、偏差値の高い「優等生」ではなく、世界をより良くするために自ら問いを立て、行動できる「面白い人材」を求めています。その資質は、志望理由書に込められた以下の4つの要素から見極められます。
- 強い原体験と問題意識: なぜあなたはそのテーマに心を奪われているのか?その根底にある個人的な体験や社会への義憤。
- 主体的な探究の軌跡: その問題意識に対して、これまで具体的に何をしてきたのか?本を読み、人に会い、何かを創り出した、その行動の記録。
- SFCへの圧倒的な熱意と理解: なぜその探求の場が、他の大学ではなくSFCでなければならないのか?SFCのリソースを使い倒す具体的な計画。
- 未来への野心的な構想力: SFCでの学びを経て、あなたはこの世界をどう変えたいのか?その壮大で具体的なビジョン。
これら4つの要素が一貫した物語として紡がれているかどうかが、評価の分かれ目となるのです。
志望理由書の「4大構成要素」— 黄金の物語構造
優れた志望理由書は、例外なく以下の4つの要素を含んだ物語構造を持っています。このフレームワークに沿って、あなた自身の物語を構築していきましょう。
①【過去】問題意識の原点 — 「なぜ私なのか?」
すべての物語は、あなた個人の体験から始まります。「社会問題に関心があります」といった漠然とした言葉では、評価者の心は動きません。
- BAD例: 「私は環境問題に関心があります。」
- GOOD例: 「祖父の家の裏山が大規模なソーラーパネルで覆われ、幼い頃に親しんだ生態系が失われた光景を目の当たりにしました。再生可能エネルギーの重要性は理解しつつも、地域環境との共存を無視した開発に強い疑問を抱いたのが、私の研究の原点です。」
具体的なエピソードこそが、あなたの問題意識に血肉を与え、独自性を生み出します。
②【過去→現在】探究のプロセスと実績 — 「これまで何をしてきたか?」
問題意識を抱いた後、あなたがただ待っていたのではなく、主体的に行動したことを証明するパートです。
- 読書や研究:関連書籍を何冊読んだか、論文を調べたか。
- フィールドワーク:関係者にインタビューしたり、現地に足を運んだりしたか。
- 創造・実践:アプリを開発した、イベントを企画した、探究活動で発表した、動画を制作したなど。
ここは、出願時に提出する「活動報告」や「任意提出資料」と連動させる重要な部分です。「この活動を通して、〇〇という新たな課題を発見した」といった形で、行動が次の探求へと繋がったことを示せると、評価はさらに高まります。
③【現在】「なぜSFCでなければならないのか?」— SFCへのラブレター
あなたの探求が、なぜSFCという場でなければ完成しないのか。その必然性を論理的かつ情熱的に語ります。これは、SFCへの深い理解度を示す、最も重要なパートです。
- 教員と研究会を名指しする: 「〇〇先生の△△という論文に感銘を受け、先生の研究会で□□という手法を学びたい」というレベルで具体的に記述します。SFCのウェブサイトを隅々まで読み込み、教員の専門分野や論文をリサーチするのは必須です。
- 学際性を活用する計画を示す: 「総合政策学部の〇〇先生の政策立案アプローチと、環境情報学部の△△先生のデータサイエンス技術を掛け合わせることで、私の目指す××という課題解決に挑みたい」のように、学部を横断した学びの計画を提示しましょう。
④【未来】SFCでの学びを社会へ — あなたが創る未来のビジョン
SFCでの4年間はゴールではありません。そこで得た知識、スキル、仲間を糧に、あなたが社会にどう貢献し、何を成し遂げたいのか。その壮大なビジョンを語ります。
「起業したい」ではなく、「SFCで培った〇〇を活かし、△△という社会課題を解決するため、□□という具体的なサービスを提供する会社を立ち上げる」というように、解像度の高い未来像を示し、冒頭で提示した問題意識に答える形で物語を締めくくります。
2000字の「文章」と2ページの「自由記述」の効果的な使い分け
SFCの志望理由書は、①2000字の文章と、②自由記述(A4・2ページ)の2部構成です。それぞれの役割を理解し、戦略的に使い分けましょう。
- 2000字文章の役割: 論理の背骨 上記の「4大構成要素」に沿った、あなたの物語の論理的な流れを、明快な文章で構築する場所です。思考の深さ、論理的思考力を示します。
- 自由記述の役割: 情熱と個性のショーケース 文章だけでは伝わらないあなたの魅力や情熱を、ビジュアルで補強する場所です。「見せる」ことで、説得力を何倍にも高めます。
- 活用例:
- 活動の様子がわかる写真や、制作物の画像
- 思考のプロセスを示したマインドマップや図解
- 自分の探求の歴史をまとめた年表
- 研究計画のコンセプトを表現したデザインやイラスト
- あなたの人柄が伝わるようなユニークな自己紹介
- 活用例:
自由記述書は志望理由書の繰り返しではなく、文章を補完し、あなたの個性を爆発させるための武器として活用してください。
最後に
慶應SFCの志望理由書作成は、自分という人間を深く見つめ、未来を構想する、長くも豊かな「自分探しの旅」です。完璧な文章や美しいデザインよりも、あなた自身の言葉で、あなたにしか語れない不格好で熱い物語を紡ぐこと。それこそが、SFCの心を動かす唯一の方法です。
自信を持って、あなたの物語を世界に提示してください。健闘を祈ります。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。