
- 1. 1. なぜ「志望教員と研究会」をここまで厳しく問われるのか?
- 2. 2. 志望教員・研究会を具体化する「3層のリサーチ」
- 2.1. レイヤー①:教員の「主著・最新論文」を読み解く
- 2.2. レイヤー②:研究会内の「進行中サブプロジェクト・学生の活動」を追う
- 2.3. レイヤー③:「兼会(複数研究会の履修)」による文理融合の構想
- 3. 3. 面接室での実践:福利の法則(F-K-R-I)による1分回答モデル
- 4. 4. 志望研究会を語る際に絶対に避けるべき「3大NG」
- 4.1. NG①:教員の肩書や実績を「お世辞」で褒め称える
- 4.2. NG②:教員の「過去のテーマ」に固執する
- 4.3. NG③:面接官がその教員だった場合に動揺する
- 5. 5. 志望教員・研究会リサーチチェックリスト
- 6. 最後に
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のAO入試において、二次選考(個人面接)で面接官である専任教授陣から必ずと言っていいほど投げかけられる質問があります。
「具体的に、誰の研究会(ゼミ)で、どんなテーマに取り組みたいと考えていますか?」
この問いに対して、次のように答えてしまう受験生が後を絶ちません。
「◯◯教授の研究会で、環境問題について幅広く学びたいです」
「先端ITと社会システムを掛け合わせた研究会に入って、実践的なスキルを身につけたいです」
もしこのような抽象的な回答をしてしまえば、面接官の反応は一瞬で冷え込みます。
SFCにおいて、「研究会」はキャンパスの存在意義そのものであり、教育と先端研究が不可分に融合した中核プラットフォームです。
他大学のように「3〜4年生になってから所属するゼミ」とは異なり、SFCでは意欲と能力があれば学部1年生から研究会への所属(履修)が可能です。
だからこそ教授陣は、受験生が「どの教員の、どのプロジェクトに、どうコミットしたいのか」という解像度を徹底的にチェックします。
今回は、二次面接を突破するために、志望教員・研究会をどのように特定・分析し、面接室で教授陣を唸らせる言葉へと昇華させるべきかを徹底解説します。
1. なぜ「志望教員と研究会」をここまで厳しく問われるのか?

SFCのAO入試において、研究会の志望動機が合否の決定打となる理由は主に3点あります。
【教授陣が志望教員の具体性を重視する3大理由】
① 「SFCでなければならない必然性(Why SFC?)」の究極の証明になるから
学部の名前や大枠のカリキュラムは他大学にも似たものがあります。しかし、「◯◯教授が率いるこの研究会、この研究環境」は世界中でSFCにしか存在しません。
② 「教わる生徒(客)」ではなく「研究室を動かす仲間」を探しているから
SFCの研究会は、教授が一方的に講義する場ではなく、学部生・大学院生・教員が対等な立場でプロジェクトを推進する実験場(半学半教)です。
③ 面接官本人が「その研究領域の当事者」だから
面接室の机の向こうに座っているのは、まさにあなたが挙げようとしている教員、あるいはその教員と日常的に共同研究やカリキュラム設計を行っている同僚教員です。中途半端な知識や浅いお世辞は1秒で見抜かれます。
2. 志望教員・研究会を具体化する「3層のリサーチ」

「研究会紹介のWebページを眺めて教員の名前を覚えただけ」では太刀打ちできません。以下の3つのレイヤーまで解像度を引き上げる必要があります。
レイヤー①:教員の「主著・最新論文」を読み解く
志望する教員が、直近3〜5年間に発表した学術論文(CiNiiやGoogle Scholarで検索可能)、著書、寄稿文に必ず目を通します。
- その教員が「何を学術的・社会的な問いとして立てているのか」
- 「どのような研究手法(定量分析、質的調査、プロトタイピング、法解釈など)」を用いているのか
この基礎知識を押さえておくことで、「先生が論文で指摘されていた◯◯の限界について〜」という高次元の対話が可能になります。
レイヤー②:研究会内の「進行中サブプロジェクト・学生の活動」を追う
研究会の公式WebサイトやSNS(X、note、GitHub等)を調べると、研究会全体の大テーマの下で、学部生や大学院生がチームを組んで動かしている具体的なサブプロジェクトが見えてきます。
「◯◯研究会の中の、特に△△プロジェクトの領域に関心がある」と特定できるだけで、他の受験生から頭一つ抜け出せます。
レイヤー③:「兼会(複数研究会の履修)」による文理融合の構想
SFCの最大の強みは、複数の研究会を同時に履修する「兼会」が制度として日常化している点です。
- 総合政策的アプローチの研究会(政策、法制度、ガバナンス、ビジネスモデル)
- 環境情報的アプローチの研究会(データサイエンス、AI、人間工学、空間デザイン
「1つの研究会だけで完結する」のではなく、「主たるA研究会で技術的プロトタイプを作りつつ、B研究会で社会実装のための制度設計を検証する」という越境的な青写真を示すことで、SFCが求める理想の学徒像を体現できます。
3. 面接室での実践:福利の法則(F-K-R-I)による1分回答モデル

面接で志望研究会を問われた際、だらだらと教員の経歴を読み上げるような回答は厳禁です。
「福利の法則(F-K-R-I)」に則り、1分以内で結論ファーストかつ具体的に打ち返します。
【面接問答実例:志望教員・研究会を問われた際の切り返し】
・教授:「あなたがSFCに入学したら、具体的にどの教員の研究会に入って何をしたいですか?」
・F(復唱) [約5秒] :「私が所属を希望する研究会と、そこでの具体的な研究構想についてですね」
・K(結論) [約10秒]:「結論として、環境情報学部の◯◯教授が主宰する先端センシング研究会を主軸とし、1年次春学期から参画したいと考えています」
・R(理由・例)[約35秒]:「◯◯先生が直近で発表された論文における『ノイズ環境下での生体信号処理』の知見が、私が高校時代に開発した見守りデバイスの誤検知率を下げるための鍵になると確信しているからです。さらに3年次以降は、総合政策学部の△△教授の研究会を兼会し、医療機器認証の法規制をクリアしながら自治体と実証実験を回すガバナンスモデルを構築したいと考えています」
・I(以上) [約5秒] :「以上です」
- 問いを復唱(F)して論点を固定する。
- 志望教員・研究会名と希望時期(K)を即答する。
- 教員の具体的な論文・理論に触れつつ、自らの一次体験と文理融合(兼会)の必然性(R)を展開する。
- 「以上です(I)」と締めて面接官にターンを返す。
この型で返すことで、面接官は「この受験生は、教員の研究のどこが自分の課題と結びついているかを完璧に理解している」と確信します。
4. 志望研究会を語る際に絶対に避けるべき「3大NG」

教員や研究会について語る際、無意識にやってしまいがちな致命的な落とし穴を整理します。
NG①:教員の肩書や実績を「お世辞」で褒め称える
「◯◯先生はメディアでも著名で、業界の第一人者として尊敬しているから」といった情緒的なお世辞は一切不要です。
教員が求めているのはファンクラブの会員ではなく、「自分の研究を批判的に継承し、新しい知を一緒に生み出せる骨太な議論相手」です。
NG②:教員の「過去のテーマ」に固執する
教員の研究テーマは常に進化しています。
5〜10年前の著書に書かれた内容だけを語ると、「今はそのアプローチはやっていないよ」「古い研究だね」と返されて立ち往生します。
必ず直近の論文やSFC研究所のプロジェクトなど、「現在の関心領域」を押さえてください。
NG③:面接官がその教員だった場合に動揺する
「◯◯先生の研究会に入りたい」と語った相手が、目の前に座っている面接官本人であるケースは珍しくありません。
その際、「あ、ご本人ですか…!」と動揺して言葉を失うのはもったいないことです。
「先生が先日登壇されたシンポジウムのアーカイブを拝見しました」と敬意を払い、直接対話できる絶好のチャンスとして堂々と自分の仮説をぶつけましょう。
5. 志望教員・研究会リサーチチェックリスト

面接本番を迎える前に、以下の項目を点検してください。
| 点検項目 | リサーチ・回答の基準 | 確認欄 |
| 教員名の正確性 | 志望教員の漢字表記・所属学部・研究分野の名称を正確に言えるか | □ |
| 最新文献の読了 | 志望教員の直近の著書・主要論文・Web論考を最低2本以上読み込んだか | □ |
| プロジェクトの特定 | 研究会内で動いている具体的なサブプロジェクト名を把握しているか | □ |
| 兼会の構想 | 総合(制度・政策)と環境(技術・デザイン)の両輪を回す研究会構成を描けているか | □ |
| 貢献の言語化 | 「教えてもらう」のではなく「自分が研究室にどんなデータや視点をもたらせるか」を語れるか | □ |
| 1分回答のリズム | 福利の法則(F-K-R-I)を用いて、研究会の志望動機を1分以内で打ち返せるか | □ |
最後に

慶應SFCの面接室は、大学の講義を聴きに来る「受講生」を選抜する場所ではありません。
世界を変えるための知の実験場において、「どの教員と共に、どの未踏の課題に挑むのか」という覚悟を持った同志を迎え入れる場所です。
あなたが惹かれた教員の思想、その研究室でしか成し遂げられない社会実装、そしてあなた自身が持ち込む熱い問題意識。
それらが一本の線で繋がったとき、あなたの言葉は面接官の心を強く揺さぶり、合格への扉を確実に開くことになります。
徹底したリサーチに裏打ちされた揺るぎない確信を胸に、面接室で自らの研究構想を堂々と語り尽くしてきてください。
教務一同、心より応援しています。
KOSSUN教育ラボでは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。
受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
本記事で紹介した内容に関連して、以下の記事もおすすめです。ぜひご覧ください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。
■参考文献
本記事の作成にあたっては、以下の公式資料を参考にしています。
慶應義塾大学「KEIO UNIVERSITY GUIDEBOOK 2027 学問のすゝめ」
「慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)公式ウェブサイト」


