こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。

「慶應SFCの偏差値は72.5」——。

大学受験情報サイトでこの数字を見て、「自分には無理かもしれない」と感じた受験生は少なくないでしょう。慶應義塾大学の中でもトップクラスに位置するSFC(湘南藤沢キャンパス)の偏差値は、多くの受験生にとって一つの大きな壁に見えます。

しかし、SFCの入試はその特殊性から、偏差値というものさしだけでは測れない「本当の難易度」が存在します。なぜSFCの偏差値は高く出るのか?その数字をどう解釈すれば良いのか?そして、偏差値以外の「SFCに入るための物差し」とは何か?

この記事では、SFCの入試制度の核心に迫りながら、偏差値の数字の裏に隠された真実を徹底的に解説します。


まず結論から言えば、SFCの偏差値が他の多くの難関大学・学部と比べて高く算出される主な理由は、そのユニークな入試科目にあります。

理由1:受験科目が少ないため、偏差値が「高く出やすい」

大学入試の偏差値は、受験者の得点が平均からどれだけ離れているかを示す指標です。一般的に、受験科目が少ないほど、一つの科目に集中対策した受験生が集まるため、平均点が高くなり、偏差値も高く算出される傾向にあります。

多くの大学が3教科以上を課す中で、SFCは実質的に「得意な1教科+小論文」で挑戦できます。このため、英語が突出して得意な受験生や、数学に特化した受験生が全国から集結し、結果として合格者の偏差値が高くなるのです。

理由2:最重要科目「小論文」が偏差値に含まれていない

これが最も重要なポイントです。多くの大手予備校が公表する偏差値は、SFCの合否を大きく左右する「小論文」の成績を算出の対象外としています。

つまり、多くの受験情報サイトに掲載されている「偏差値72.5」という数字は、あくまで英語、数学、情報のいずれか1教科の学力を示しているに過ぎません。SFC入試の配点は、選択科目(200点)と小論文(200点)が1:1であり、小論文が合否に与える影響は絶大です。

偏差値は、SFCが求める能力の半分しか見ていない、ということをまず理解する必要があります。


SFCの本当の難しさは、偏差値の数字そのものではなく、入試問題の「質」にあります。

一般選抜:思考力と人間力が問われる「異次元」の試験

SFCの入試問題は、単なる知識の暗記量を問うものではありません。

これらの試験で求められるのは、教えられたことを正確に再生する能力ではなく、未知の問題に直面したときに、自らの頭で考え、粘り強く解決の糸口を探る思考体力と人間力です。この力は、偏差値という指標では決して測ることができません。

AO入試:学力だけではない「生き様」が問われる選抜

SFCのもう一つの大きな特徴は、AO(アドミッションズ・オフィス)入試の存在です。

AO入試は、学力試験を一切行いません。評価されるのは、出願者がこれまでの人生で「何に問題意識を持ち、どう探求し、どんな実績を上げてきたか」、そして「SFCで何を成し遂げたいか」という物語です。偏差値という物差しが全く通用しない世界で、自らの活動や情熱、将来性で合否が決まります。

実に学生の4割が偏差値とは異なる基準で選抜されているという事実は、SFCという場が、画一的な学力だけではない、多様な「才能」や「個性」をいかに重視しているかを示しています。

SFCの偏差値が高いことは事実であり、一般選抜で合格を勝ち取るためには、英語や数学といった科目でトップレベルの学力が必要であることは間違いありません。その意味で、偏差値は挑戦するための「出発点」として有効な指標です。

しかし、その数字に怯える必要はありません。

「偏差値が足りないから」と諦める前に、SFCが本当に求めているものは何かを考えてみてください。それは、未来の社会をより良くしたいという強い意志と、未知の問題に果敢に挑む冒険心です。その情熱こそが、高い偏差値の壁をも越える力となるでしょう。


KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。

※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。