
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)には、その革新的な教育と表裏一体をなす、強力な研究推進組織が存在します。それが「慶應義塾大学SFC研究所(Keio Research Institute at SFC 通称:KRIS)」です。
1996年に設立されたこの研究所は、単なる学術研究の拠点ではありません。SFCが掲げる「問題発見・解決」の理念を社会の隅々まで届けるための、産官学民連携のハブであり、未来社会を実装するための巨大な実験場です。
この記事では、SFCの研究活動の中核を担う「SFC研究所」の目的、仕組み、そして学生がどうかかわっていけるのか、その全貌を解き明かします。
SFC研究所の理念:未来を先導し、社会に貢献する
SFC研究所の最大の目的は、21世紀の先端研究をリードし、その成果を広く社会に還元することです。福澤諭吉の「実学の精神」を受け継ぎ、学問のための学問で終わらせず、研究成果を用いて社会の具体的な課題解決に貢献すること(=社会実装)を使命としています。
その根底には、SFCならではの以下の思想が流れています。
- 諸科学協調: 複雑な社会問題は、単一の学問分野では解決できません。文系・理系の枠を超え、多様な専門家が協力し、融合的なアプローチで問題に挑みます。
- オープン・イノベーション: 大学内だけに閉じるのではなく、企業、国、地方自治体、NPO、そして世界中の研究機関と双方向の連携を築き、新たな価値を共創します。
- 未来創造: 現在の問題解決だけでなく、次の世代、さらにその次の世代が生きる社会を見据え、未来を先導する研究活動を行います。
SFC研究所を駆動する2つのエンジン:「ラボ」と「コンソーシアム」
SFC研究所の活動は、主に「ラボラトリ」と「SFC研究コンソーシアム」という2つの独自の仕組みによって推進されています。
1. ラボラトリ(ラボ)
「ラボ」は、SFC研究所における研究活動の基本単位です。特定の学問分野ごとではなく、「解決すべき社会課題」や「探求すべき研究ミッション」ごとに、分野横断的な研究者のチームが編成されます。
例えば、以下のような多様なラボが存在し、日々研究活動が行われています。
- 社会課題解決型: xSDG・ラボ、社会安全政策・警察学・ラボ、ドローン社会共創・ラボ
- 先端技術追求型: 先端ウェブアーキテクチャ・ラボ、システムバイオロジー・ラボ、自動運転のスマートモビリティ・ラボ
- 文化・人間探求型: イスラーム研究・ラボ、日本研究プラットフォーム・ラボ、ゆるいコミュニケーション・ラボ
- 地域・環境デザイン型: グリーンインフラストラクチャーと生態系サービス・ラボ、ネイチャーポジティブ・ラボ
これらのラボには、SFCの教員だけでなく、国内外の企業や他大学から「訪問研究者」として多くの専門家が参加しており、知の化学反応が生まれる土壌となっています。
2. SFC研究コンソーシアム
「コンソーシアム」は、SFC研究所が中心となり、複数の企業や自治体、団体などと共に特定のテーマを共同で研究・推進していくためのプラットフォームです。これは、産官学連携をよりダイナミックに、そして継続的に行うための仕組みと言えます。
大学が設定した大きな研究テーマに対し、関心を持つ複数の企業などが会員として参加。定例会やワーキンググループを通じて、情報交換、共同での技術開発、政策提言などを行い、一つの組織だけでは成し遂げられない大きなイノベーションを目指します。
現在、「アグリプラットフォームコンソーシアム」や「データビジネス創造コンソーシアム」、「シェアタウン・コンソーシアム」など、20を超える多様なコンソーシアムが活動しています。
【学生の視点】研究会は、SFC研究所への扉
では、学部生は、この巨大な研究組織とどう関わるのでしょうか。その答えは、SFCの教育の核である「研究会」にあります。
SFCの多くの「研究会」は、SFC研究所の「ラボ」と密接に連携しているか、あるいはそのものズバリ、「ラボ」の学部生向け教育・研究活動の顔としての役割を担っています。
学生は、興味のあるテーマの「研究会」に所属することで、自然とSFC研究所が推進する最先端の研究プロジェクトに参加することになるのです。
- 教員や大学院生、訪問研究者との共同研究: 研究会活動を通じて、学生は第一線で活躍する研究者たちと日常的に議論し、共同で研究を進める機会を得ます。
- 産官学連携プロジェクトへの参加: 企業や自治体との共同研究が数多く行われており、学生は現実社会の課題解決の現場に直接関わることができます。例えば、自治体と連携して地域活性化のビジネスプランを提案したり、企業と共に新製品のプロトタイプを開発したりといった活動が、研究会を通じて行われています。
つまり、SFCの学部生にとって、研究会に所属することは、単に卒業研究を行うだけでなく、SFC研究所という広大な知のプラットフォームにアクセスし、その一員として未来を創る活動に参加するための重要なステップなのです。
研究成果の発信地「Open Research Forum (ORF)」
SFC研究所の活動の集大成として、毎年秋に開催されるのが「Open Research Forum(ORF)」です。これは、各ラボや研究会が一年間の研究成果を社会に広く公開・発信するイベントです。
学生たちは、自らの研究内容をブースで展示したり、セッションでプレゼンテーションを行ったりします。ORFは、学生にとって自らの研究成果を社会に問う絶好の機会であると同時に、来場する企業や研究者との新たな出会いから、次の共同研究やイノベーションが生まれる「創発の場」となっています。
最後に
慶應義塾大学SFC研究所は、SFCの「問題発見・解決」の精神をキャンパス内に留めず、社会全体へと拡張するためのエンジンです。学生たちは、日々の研究会活動を通して、この日本有数の「知のプラットフォーム」にアクセスし、未来を創る当事者として成長していきます。SFCを目指すということは、このダイナミックな研究環境に飛び込むことと同義なのです。
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KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。