
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。
「SFCは入試科目が少ないから簡単らしい」 「AO入試なら、筆記試験なしで“楽に”入れるって本当?」
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)について、このような「簡単」「楽」といった噂を耳にしたことがある受験生は少なくないかもしれません。しかし、その認識は、SFCの本質を大きく見誤る、非常に危険な誤解です。
SFCは、決して「簡単な大学」ではありません。むしろ、その“難しさの種類”が、日本の他の多くの大学とは全く異なるだけなのです。
この記事では、なぜ「SFCは簡単」という噂が生まれるのか、その背景にある3つの理由を分析し、実際にはどのような「本当の壁」が待ち受けているのかを徹底的に解説します。
なぜ「SFCは簡単」という噂が生まれるのか?
この誤解が生まれる背景には、SFCのユニークな入試制度や校風が、表面的に捉えられてしまうことに原因があります。
理由1:一般入試の「科目数の少なさ」という“見た目”
SFCの一般選抜は、「英語or数学or情報から1科目+小論文」という、実質2科目で受験が可能です。3教科以上が一般的な難関大学の中で、この科目数の少なさは「対策しやすそう」「簡単そう」という印象を与えがちです。
理由2:学力試験がない「AO入試」という“抜け道”のイメージ
募集定員の約4割を占めるAO入試は、学力試験を課しません。この点が「筆記試験が苦手でも、活動実績や面接だけで入れるなら楽だ」という、AO入試を“抜け道”のように捉える誤解につながっています。
理由3:「自由な校風」という“楽そう”なイメージ
私服で闊歩し、PCを片手に芝生で議論する学生たち。SFCの自由で縛られない校風は、時に「規律が緩くて楽そう」「勉強が大変ではなさそう」というイメージを持たれることがあります。
見過ごされているSFCの“本当の壁”
しかし、これらの「簡単そう」に見える特徴の裏には、それぞれ非常に高い、しかし質の異なる「壁」がそびえ立っています。
壁①:一般入試 ─「専門家」と「思考の怪物」との戦い
科目数が少ないことは、決して難易度が低いことを意味しません。
- 1科目に人生を懸けた「専門家」との競争: 2科目しか必要ないということは、全国から「英語だけは誰にも負けない」「数学オリンピック出場レベル」といった、1科目に特化した受験生(専門家)が集中することを意味します。その中で勝ち抜くには、生半可な得意レベルではなく、トップクラスの実力が不可欠です。実際に、SFCの偏差値が70前後と高く算出されるのは、この熾烈な競争の結果です。
- 偏差値では測れない「小論文」という名の“ラスボス”: SFCの小論文は、あなたの知識ではなく「思考力そのもの」を問う試験です。膨大な資料を読み解き、隠れた問題を発見し、創造的な解決策を論理的に提案する能力が求められます。過去の知識を再生するのではなく、その場でゼロから思考を組み立てる力が必要であり、多くの受験生が「対策が最も難しい科目」と口を揃えます。
壁②:AO入試 ─ あなたの「半生」そのものが問われる総力戦
筆記試験がないAO入試は、「楽な道」とは正反対の、非常に過酷な「自分自身との戦い」です。
- 「昨日今日」では作れない実績: 評価されるのは、高校3年間、あるいはそれ以前からの、あるテーマに対する持続的な探求活動とその成果です。「探究心を行動に移し、何らかの価値を生み出したか」という、具体的な実績が問われます。付け焼き刃の活動では全く歯が立ちません。
- 自分を深く掘り下げる論理的思考力: なぜその問題に関心を持ったのか、なぜSFCでなければならないのか、SFCで何を成し遂げ、社会をどう変えたいのか。これらを2000字の文章と2ページの自由記述で表現する「志望理由書」の作成は、一つの壮大な研究プロジェクトに等しい、知的な重労働です。
壁③:入学後に待ち受ける「自由」という名の“本当の試練”
SFCの最大の壁は、実は入学後にあります。
- 自由=自己責任: SFCには、決められたレール(必修科目)がほとんどありません。何を、いつ、どのように学ぶか、その全てを学生自身がデザインしなければなりません。これは、明確な目的意識と強靭な自己管理能力がなければ、4年間を無為に過ごしてしまう危険性と隣り合わせの、厳しい「自由」です。
- アウトプット(成果)主義の文化: SFCの評価は、授業に出席することではなく、「何を生み出したか」で決まります。研究会では、常に論文、作品、プレゼンテーションといった成果物の提出が求められます。そのプレッシャーと知的負荷は、他の多くの大学の比ではありません。
最後に
「慶應SFCは簡単」という噂は、大学を「先生が教えてくれることを、言われた通りにこなす場所」だと考えている人にとっての、一面的な真実かもしれません。SFCには、そのような「やらされ勉強」はほとんど存在しないからです。
しかし、もしあなたが「自らの頭で考え、未知の課題に挑み、新しい価値を創造したい」と願うなら、SFCは日本で最も困難で、同時に最もエキサイティングな挑戦の場となるでしょう。
問われているのは、SFCが「簡単か、難しいか」ではありません。あなたが「自由という名の試練に、挑戦する覚悟があるか」なのです。
KOSSUN教育ラボは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜(AO入試)に特化した対策を行っています。受験でお困りの方は、お気軽に無料個別相談会にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人
西村 成道(にしむら・なるみち)
KOSSUN教育ラボ 副代表。総合型選抜(AO入試)のプロ講師として1,200名以上の塾生をサポート。特に書類選考の通過率は通算96.4%と業界トップを記録。慶應SFCをはじめ、「評定不良」「実績なし」「文章嫌い」からの逆転合格者を毎年輩出。圧倒的な指導力と実績が受験生、保護者の間で話題となり、全国から入塾希望者が殺到している。著書、メディア出演多数。