こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当です。

慶應SFCの魅力の一つに、社会の第一線で活躍してきた実務家出身の教授陣の存在があります。彼らは一体、どのような想いを抱いて教壇に立ち、学生たちに何を伝えようとしているのでしょうか。

今回ご紹介する『日本経済と私とSFC~これまでの歩みとメッセージ~』は、2007年7月に行われた湘南藤沢キャンパスでの最終講義を収録。日本銀行という日本経済の中枢からSFC教授へと転身した岡部光明氏が自らの軌跡を振り返るとともに、SFC、そして若い世代へのメッセージ伝えています。

一人の知性が、その人生を賭して得た知見と、次世代への熱い想いを凝縮したこの記録は、SFCという場の本質と、そこで学ぶことの本当の意味を教えてくれます。

本書の核となるのは、2007年7月に行われた岡部光明教授の最終講義の記録です。そこでは、単なる経済学の解説にとどまらない、重層的なメッセージが語られます。

さらに、教授へのインタビュー記事や、ゼミの同窓会での挨拶なども収録されており、岡部教授の人間的な魅力や、学生との深い絆をも感じ取ることができます。

本書を読んで強く感じるのは、これが単なる退官記念の書籍ではないということです。これは、岡部教授がその生涯をかけて培ってきた知見と経験、そして教育への情熱を、次の世代へと手渡す「知のバトン」であり、未来への「贈与」です。

日本銀行でのキャリアは、彼にマクロ経済のダイナミズムを肌で感じさせました。一方、SFCでの14年間は、ミクロなレベルで個々の学生の才能を育む喜びを教えたのでしょう。本書には、その両方の視点が見事に融合されています。

経済という大きな流れを動かす「政策」の世界と、一人ひとりの学生の「問題意識」を育む教育の世界。この二つを往還した人物だからこそ語れる言葉には、ずっしりとした重みとリアリティがあります。SFCがなぜ社会の多様な分野から優れた人材を惹きつけるのか、その理由の一端が、この一冊から見えてくるようです。、SFCという教育機関の思想を解き明かすドキュメンタリーでもあるのです。

SFCで何を学びたいのか、まだ漠然としているあなたにとって、この本は確かな「軸」を与えてくれるかもしれません。

1. SFCの「教授像」をリアルに知ることができる SFCには、岡部教授のように、学問の世界だけでなく、社会の最前線で実践を積んできた教員が数多く在籍します。この本は、そうした教授がどのような問題意識を持ち、学生に何を求めているのかを知る絶好のケーススタディです。SFCでの「学び」が、単なる知識の受け渡しではなく、教員と学生の真剣な対話であることを理解できるでしょう。

2. 「社会課題」への解像度が高まる 「日本経済」という壮大なテーマに、一人の人間がどう向き合い、考え、行動してきたか。その軌跡を追体験することは、あなたがこれから向き合いたい「社会課題」を考える上で、非常に大きなヒントとなります。自分の興味関心を、より大きな社会の文脈の中にどう位置づけるか、その視座を与えてくれます。

3. 「研究会(ゼミ)」で学ぶ意味がわかる 本書には「岡部研究会の14年間」という記録も含まれています。SFCの学びの核である研究会が、いかに学生と教員の密なコミュニケーションの場であり、知的な共同体であるかが伝わってきます。SFCに入学した後、自分がどのような環境で学ぶことになるのか、具体的なイメージを描く手助けになります。

『日本経済と私とSFC』は、一人の教授の最終講義録という形をとりながら、SFCの教育理念そのものを体現しているような一冊です。社会と学問、実践と理論、そして教員と学生。それらが分断されずに繋がり合う場所、それがSFCなのだと教えてくれます。

これからSFCを目指すあなたにとって、この本は、未来の師となるかもしれない人物からの、時を超えたメッセージとなるでしょう。ぜひ、その言葉を受け取ってみてください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。